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【年金数理】利力 (Force of interest)

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今回は、年金数理・生命保険数理などで用いられる利力について考えていきましょう。

 

実利率と名称利率とでは、下記の関係式が成り立ちましたが、

この両辺に自然対数をとると

となります。この右辺と左辺を入れ替え

次に両辺をkで割ったのち、ネイピア数の指数を両辺にとると

となります。ここでの関係を活用すると、

となり、これをに関して整理すると、

と名称利率を上記の形に変形することができます。

 

ここで、指数の展開式を利用すると

 

となります。

ここで、k→∞としたときの極限値をδで表すと、

となります。

この極限値δは利力といいます。これはkをきわめて小さくしたときに転化期間1/kを非常に微小な転化期間⊿tとみなすことができ、この微小転化期間の間に生じる利息をδ・⊿tとし、年始の元金に対し⊿tごとに転化していった場合、年末の実利率がiになることを表しています。

 

ここから利力に関して重要な式について考えていきましょう。

利力の式の両辺にネイピア数をとると

・・・①

という式が得られます。ネイピア数と利力がわかっている状態から、

実利率を求めることができ、また実利率から利力も求めることが出来るといった

活用方法があります。

 

また、この式の逆数をとることで

・・・②

が得られます。これも同様に現価率から利力を、また逆に

利力から現価率を求めたい場面で利用することが出来ます。

・・・③

これらの、①~③はδが極限値、つまりδが具体的な定数であるという条件のもとで成り立っている公式になります。

アクチュアリー試験、年金数理人試験では、特に指示がない限りは、利力δは定数である前提で問題が設定されているようです。

 

では、利力に関する問題を実際に見て理解を深めていきましょう。


問題1 利力に関する微分・利力の関係式 ★☆☆☆☆

(1)下記の式をvを用いて表しなさい。

(2)下記の式をv、nを用いて表しなさい。

(3)下記の式をv、nを用いて表しなさい。


◆解答解説

(1)

となる。

(2)

(3)   (1),(2)より



◆利力が時間に依存する場合

 

今度は利力が時間依存する場合、つまり定数でない場合について考えていきましょう。

を時間経過によって増加する資産終価としたとき、1/m年後の元利合計は名称利率を用いると

・・・①

となります。これを名称利率について整理すると

・・・②

となります。ここで1/mをΔtとすると

・・・③

と表記できます。これのm→∞、つまりΔt→0の極限を考えると

・・・④

となります。これより、利力δは時間を変数、もしくは引数としたものだとわかります。

また、④の式から、

・・・⑤

・・・⑥

となることがわかります。⑥の式は、利息のみの資産推移が、と等しいということを表しています。

 

これより、現在の資産をとすると

・・・⑦

という関係性も求めることができます。

・・・⑧

これより、

・・・⑨

・・・⑩

・・・⑪

といった重要な関係式がもとめられる。これは、利力が一定であるときも成立します。

例えば、⑪の式に関しては、(一定値)とすると、

とよく見受けられる式が出てくることがわかります。

逆をいうと、の公式は、利力δが一定であるという仮定の下で成り立っている公式のため、安直に使用できないという

欠点があることがわかります。


問題2 時間依存の利力 (1次の利力) ★★★☆☆

年金資産の時刻tにおける利力は,年金資産の時刻tにおける利力はである。この時、,

,時刻t=0の時、年金資産と年金資産は等しく、時刻t=nの時も等しい。nは次のうちどれか

(A) (B)

(C) (D) (E)

【アクチュアリー 年金数理 平成2年】


◆解答解説

利力は時間の一次関数で表記されているので、Fも時間の関数である。

より、

年金資産は

となります。ここで

(Cは積分定数)

となります。

同様に、

ここでより、C=0とわかります。これを代入しから、

⇔n=

となります。よって、(B)が正しい。

1⃣2019年の年金数理人の問題1に同種の問題が出題されてます。



問題3 時間依存の利力 (2次の利力) ★★★★☆

年金資産の時刻tにおける利力は,年金資産の利力はとなっている。

(は定数で、,) .時刻t=0のとき、年金資産、年金資産は等しく、その後の2時点

でも等しくなった。そのための不等式の条件と、2時点をを用いて、それぞれ求めなさい。


◆解答解説

利力は、時間に従うので

より、

 (Cは積分定数)・・・❶

となる。同様に

 (C’は積分定数)・・・❷

t=0の時、❶と❷は等しくなるので、C=C’とわかる。次に❶、❷が等しくなる2時点を考える。

❷-❶=0を考えると

※定数の大小関係から❷から❶を引く

・・・❸

が求まる。ここで、t>0のとき、両辺をtで除すると

ここで、二次方程式の解の公式を用いると

・・・❹

となり、この2解のときに年金資産は等しくなる。また、成立条件は根号内が0より大きくなるという条件を考えるので

・・・❺

❺が成立条件であるとわかる。

1⃣この問題は、時間依存の利力の計算の流れを知っていないと、初見で難しく、また後半の計算に時間がかかるという点で★を4つをつけています。また、メタ的な視点にはなりますが、3次方程式の解の公式(カルダノの公式)の公式や4次方程式の解の公式(フェラーリの公式)の計算量が多くなるため、試験では、問題2、問題3の対策をこなしておけば問題ないと思われます。

 

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