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【年金数理】閉鎖型総合保険料方式(Closed Aggregate Cost Method)

今回は平準積立方式の1つの総合保険料方式についてみてきましょう。

総合保険料方式では、保険料は、標準保険料、特別保険料ともに区別はしない制度です。

 

制度発足時の保険料は

となっています。

※ここでのcは開放型総合保険料方式と比較し、Closed Aggregate Cost Method

の頭文字からとったcを表します。

ここで加入年齢方式の責任準備金

を用いると、

と加入年齢方式の保険料と責任準備金を用いて求めることが出来ます。

また、これが意味することとしては、閉鎖型総合保険料方式の初年度の保険料は、加入年齢方式の保険料に加え、責任準備金相当額の償却コストを合わせたものととらえることが出来ます。

 

翌年度からの動きに関しては、

◆新規加入者が加入しない場合は、初年度と同じ保険料のままでも財政上の過不足は発生しないです。

◆新規加入者がいる場合

①新規加入者に加入年齢方式の保険料を適応する場合は、収支が相等。

を引き続き新規加入者に適応する場合は、毎年、もしくは数年に1度保険料の見直しが必要。

 

それでは、n年度のみなおした保険料についてみていきましょう。

このように総合保険料方式は、適応する保険料が変動するため、定常状態に到達したときに保険料と積立金が加入年齢方式と等しくなることを確認する必要があります。

 


問題1 ★★☆☆☆ 閉鎖型総合保険料方式の保険料率

ある年金制度が発足するにあたり、次の率を得たとする。なお、発足時の被保険者については
過去勤務期間を通算して給付を行うものとし、年金受給権者はいないものとする。このとき、閉鎖
型総合保険料方式の保険料率に最も近いものは次のいずれか。
・到達年齢方式の標準保険料率  = 0.3
・加入年齢方式の標準保険料率 = 0.09
・開放基金方式による責任準備金に対する加入年齢方式による責任準備金の比率:1.65
(A) 0.22   (B) 0.32   (C) 0.42   (D) 0.52    (E) 0.62

【2022年 年金数理人から】


◆解答解説

最終目標としては、制度発足時のを求めることであるが

今回は、年金受給権者はいないため、という条件のもと、

を求めていくこととします。

開放基金方式と加入年齢方式の積立金比率から

とわかります。※加入年齢方式(平準積立型)の方が積立水準は開放基金方式よりも高いという観点から、比例式の立式ミスを防ぎましょう。

これより、

となり、条件よりと考えることができます。

また、左辺の前項・後項をそれぞれで除すると

となります。これを整理すると、

を導けます。・・・①

ここで制度発足時の到達年齢方式の保険料率を変形すると

が導けます。これを①に代入し、整理すると、

となるため、(E)が正しいとわかります。


問題2 ★★☆☆☆ 保険制度に関する正誤問題

定常人口に達した Trowbridge モデルの年金制度について、以下の文章のうち誤っているもの
が 1つあるが、その誤っているものは次のいずれか。なお、特に断りがない限り、定常人口のまま
推移するものとし、積立金の運用も予定通りに行われるものとする。

(A) 到達年齢方式により年金制度を発足し、発足時に未積立債務がある場合、発足時の標準保険
料、特別保険料ともに、いずれは見直しが必要となる。
(B) 閉鎖型総合保険料方式、到達年齢方式ともに、ある年度に保険料を見直し、その年度以降にお
いて新規に加入する被保険者がいなければ、再度の保険料の見直しは必要ない。
(C) 定常状態に達した場合、開放基金方式の保険料は、個人平準保険料方式の保険料より大きい。
(D) 開放基金方式で運営しており定常状態に達した場合、ある年度で新規に加入する被保険者が
予定より多かったが、新規加入年齢やその他の推移は予定通りである限り、年金財政上不足に
なることはない。
(E) 平準積立方式で運営しており定常状態に達した場合、積立金の額は、在職中の被保険者につい
ての過去の標準保険料の元利合計と年金受給権者についての給付現価の合計額となる。

【年金数理人 2021年度 年金数理】


◆解答・解説

(A)誤り。新規加入者が加入する場合は、保険料の見直しが必要になります。加入しない場合は見直しが不要になります。

(B)正しい。どちらの制度も制度発足当初の保険料は加入年齢方式と異なるため、新規加入者が加入する度、収支相等が崩れてしまう。

(C)正しい。定常状態の場合は、開放基金方式での保険料および積立金は単位積立方式と一致します。単位積立方式の場合は、制度全体の利息に対する依存度が高く、平準積立方式の方が保険料の額は小さく、積立水準は高い。

(D)正しい。定常人口では、年金財政上の不足にはならない。非定常人口の場合は、差益もしくは差損になる。

(E)正しい。


 

また、閉鎖型総合保険料方式の積立金、漸化式についてはこちら

 

「【年金数理】閉鎖型総合保険料方式(Closed Aggregate Cost Method)」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 【年金数理】閉鎖型総合保険料方式の漸化式 – wakuwaku math

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