今回はポイント制方式の年金制度について考えていきましょう。
ポイント制は、退職時の金額が定額方式にようにテーブルで定められているわけではなく、最終給与比例制のように乗率制の年金制度です。
最終給与比例制度は、乗率に退職時算定給与を乗じて計算するが、ポイント制度は、退職までのポイント累計にポイント単価を乗じます。
ポイントは、勤続年数・職能・役職によってポイント付与基準が規定されています。そのため、最終給与比例制度と同様に職員の働きを反映できる年金制度となります。
|
職能 |
職能ポイント | ポイント単価 |
| 1級 | 5 | 10,000円 |
| 2級 | 7 | 10,000円 |
| 3級 | 9 | 10,000円 |
| 副チーフ | 12 | 10,000円 |
| チーフ | 15 | 10,000円 |
| 部長 | 20 | 10,000円 |
図1:ポイント付与基準表の例
支給額の決定には、退職時のポイント累計×ポイント単価を乗じたものに、勤続年数に応じた乗率を乗じ、支給額を決定したりします。
| 勤続年数 | 定年・会社都合 | 自己都合 |
| 1 | 1.0 | 0.0 |
| 3 | 1.0 | 0.3 |
| 5 | 1.0 | 0.5 |
| 10 | 1.0 | 0.9 |
| 15 | 1.0 | 1.0 |
| 20 | 1.0 | 1.0 |
図2:ポイント累計への乗率表の例
では、実際に問題を見ていきましょう。
問題1 ポイント制の頻出問題 ★★☆☆☆
ある企業はポイント制の年金制度を実施しており、標準保険料は年間付与ポイントに標準保険料率を乗じた額(開放型総合保険料方式の保険料は年間付与ポイントに保険料率を乗じた額)としてい
る。このときある年度初に次の諸数値が得られた。なお、各記号の意味は次のとおりとする。
<諸数値>
・加入年齢方式による標準保険料率:0.30
・開放基金方式による標準保険料率:0.25
・開放型総合保険料方式による保険料率:0.16
・\(G^a=2G^f\)
この企業はある年度初において、将来加入する被保険者数の見込みを現在の 3倍とするとともに、将来の年間付与ポイントを 2 倍に引き上げた(過去期間対応分の給付現価は変動がない)。この年度の制度変更後の開放型総合保険料方式による保険料率を求めなさい。なお、将来加入する被保険者数の見込みを除き、この制度変更に伴う計算基礎率の変更はないものとする。
【2019年 アクチュアリー 年金数理】
◆解答解説
この手の問題は、目的の式を\(G^a\)もしくは\(G^f\)で分母分子をそろえて、値を求めます。そのため、給付現価を人数現価に変換できる形を条件から作りだしていきます。
加入年齢方式の標準保険料率から
\(\frac{S^f}{G^f}=0.30⇔S^f=0.30G^f\)・・・❶
開放基金方式の標準保険料率から
=\(0.75G^f\)・・・❷
開放型総合保険料方式の保険料率から
・・・❸
ここで、将来加入する被保険者数の見込みを現在の3倍、将来の年間付与ポイントを2倍に引き上げた場合の開放型総合保険料方式の保険料率は、
となります。
■余談
1⃣本問のオレンジ色部分を見ていただくと、すでに実施されている年金制度のため、
開放型総合保険料方式の保険料率は、
を用いています。
を用いて計算しないように注意。
2⃣開放型総合保険料方式は、開放型の保険料方式のため、標準保険料率と特別保険料率を区別しないです。そのため、解説の加入年齢方式は標準保険料方式と表記していますが、開放型総合保険料方式は、保険料率と表記しています。
問題2 ポイント制採用の責任準備金 ★★☆☆☆
「単年度付与ポイント×ポイント単価×保険料率」を保険料とし、「在職中の各年度の期初における付与ポイントの累計×ポイント単価」に比例した給付を行うポイント制の年金制度において、ポイント単価を過去分の累積も含めて、一律0.8倍するとともに、今後付与するポイント水準を一律1.5倍にする制度変更を行うことにした。なお、年金受給権者の給付は変更しない。この時、制度変更後の責任準備金に最も近いものは次のうちいずれか。財政方式は加入年齢方式とし、保険料は年1回の期初いとする。制度変更前の諸数値は以下の通りで貼り、制度変更による起訴率の見直しはしない。
・受給権者の給付現価:500
・在職中の被保険者の過去に給付されたポイントに基づく給付現価:900
・在職中の被保険者の将来付与されるポイントに基づく給付現価:600
在職中の被保険者の給与現価(単年度の付与ポイント×ポイント単価の現価):800
標準保険料率:0.95
(A)1,028 (B)1,095 (C)1,209 (D)1,376 (E)1,491
【年金数理人 年金数理 平成30年】
◆解答解説
財政方式は加入年齢方式のため、変更前のポイント制の責任準備金は
\(^EV=S^p+S^a-^EPG^a\)・・・❶
となります。
年金受給権者の給付以外は変更があり、在職中の過去分のポイント累積を0.8倍にし、今後の付与されるポイント水準を1.5倍するので、変更後の責任準備金は、
・・・❷
ここで変更後の標準保険料率は
・・・❸
となり、制度変更前の標準保険料率がそのまま利用できることがわかります。
❷に与えられた諸数値を代入すると
となり、(A)が正しいものわかります。
1⃣在職中の各年度の期初における付与ポイントの累計×ポイント単価」に比例した給付を行うポイント制なので、ポイント単価を変更した場合は、給付現価にすべてに影響を及ぼすことに注意しましょう。
2⃣もともとの責任準備金は、\(^EV=S^p+S^a-^EPG^a\)を用いて諸数値を代入すると、1,240となる。問題の設定上の変化があると責任準備金は結果的に減少していることもわかる。

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