今回は年金給付期間が平均余命の確定年金についてみてきましょう。
年金給付期間が略式平均余命もしくは平均余命の年金は期初払い、期末払い、連続払いとそれぞれ
・・・①
・・・②
・・・③
という形で表記されます。
問題1 平均余命が年金給付期間の確定年金① ★★☆☆☆
を証明しなさい。
◆解答解説
・・・❶
ここで、すべての支払いが、歳時点で支払われた場合の現価と比較すると❶は、
となります。これより、が成り立ちます。
1⃣は試験ではたびたび不等式の問題で問われることがあるので、覚えておきましょう。
問題2 平均余命が年金給付期間の確定年金② ★★☆☆☆
を証明しなさい。
◆解答解説
・・・❶
ここで
・・・❷
となっており、tを含んでいる形となっています。そのため、❶の式は積分区間に積分変数が出現するので、tを消えた形にしていく。
tは余命に応じて変動する変数と定めて、
とします。この両辺をuについて微分すると
⇔
となります。
これより❶は
となります。ここで、生存関数は単調減少のため、
が成り立ちます。これより、
となります。
問題3 正誤問題 ★★☆☆☆
以下の不等式のうち正しいものの個数は次のいずれか。なお、iは予定利率、ωは最終年齢、はx歳の平均余命、x歳の略算平均余命を下記のように表す。
①
② (x<y<ωとする。)
③(x<y<ω)
④
⑤ (
とする。)
(A) 0個 (B)1個 (C)2個 (D)3個 (E)4個
【年金数理人 2023年 (3)】
◆解答解説
①について
となり、予定利率は正の値をとるように設定するので、
となります。これより、正しくない。
②上記は厚生労働省(第23回)生命表になります。

上記の日本のような先進国の生命表を見慣れている方は、数学的に「年齢が上昇するほど平均余命は減少する」と証明できそうだと思いますが、実は反例が存在します。下の表のような特定の年齢にきわめて大きな死亡危険がある場合を考えてみる。
| 年齢 | lx | dx |
| 0 | 100 | 95 |
| 1 | 5 | 1 |
| 2 | 4 | 2 |
| 3 | 2 | 2 |
| 4 | 0 | 0 |
略算平均余命が\(e_x=\frac{1}{l_x}(l_{x+1}+l_{x+2}+・・・+l_{ω})\)より、年齢0歳の略算平均余命は(5+4+2+0)/100=0.11と求めることができます。
次に、1歳の略算平均余命は、(4+2)/5=1.2年となります。これより、きわめて大きな死亡危険のある年度を過ぎた場合、平均余命は伸びることがあることがわかります。日本の場合は、生命表を見ればわかりますが、きわめて大きな死亡危険は、生まれてからの1か月以内にあるため、年齢の整数値のみの生命表を見ても、平均余命が伸びる現象を発見しづらいのが実際問題あると思われます。
これらの事を踏まえて、②は正しくありません。
③ は死亡時年齢の平均を表しています。これは、どの年度の生命表を見ても死亡時年齢の平均は、x<yの場合、\(x+\overset{○}{e}_x<y+\overset{○}{e}_y\)が成り立っています。経験測だけでなく、数学的に考えてみましょう。
死亡時年齢の平均を関数\(f(x)=x+\overset{○}{e}_x\)と置くと、
\(\frac{d}{dx}f(x)=1+μ_x\overset{○}{e}_x-1=μ_x\overset{○}{e}_x≧0\)
となる。※死力は正の値をとり、また、平均余命も正の値をとることは、明らかなため。
これより、死亡時年齢の平均は非減少関数であるとわかるため、③は正しい。
④年金給付期間が平均余命の年金のほうが終身年金より大きくなるので、誤り。
⑤
より、×となります。
正解は1つなので、(B)が正しいです。
参考サイト:
ニッセイ基礎研究所:平均寿命と長生きの年数-生命表をもとに長生きの年数について考えてみよう
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=74630?site=nli
年金数理人:過去の出題例 2023年過去問
https://general.jscpa.or.jp/become/test/past/index.html
参考文献:
生命保険数学の基礎 アクチュアリー数学入門 第2版 p.81
東京大学出版会 [著]山内恒人

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