今回は美術品と金融商品の性質の違いについて紹介していきます。
今回の話は、数理的な扱いではないのですが、投資対象として芸術作品を考えたときに非常に重要な部分になるので紹介していきます。
美術品は、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資金といったいわゆる伝統的資産の対をなす、オルタナティブ資産の1つです。
オルタナティブ資産は、
(1)伝統的資産より流動性が低い
(2)伝統資産と組み合わせて分散投資効果がある
(3)評価・鑑定コストが高い
(4)透明性が低い
(5)パフォーマンス評価が難しい
といった特徴があります。美術品も、例にもれず、売買相手をつくることが難しいといった特徴があり、流動性が低いといった特徴を満たしており、他の資産との相関係数が低い、もしくは負の相関関係にあるため、「ヘッジ的資産」になるといった側面もあります。また、鑑定するためにコストがかかることは言うまでもなく、パフォーマンス評価が難しいといった特徴も満たしています。
※相関係数に関しては、参考文献参照
こういった特徴から近年、投資先の1つとして美術品は注目されています。
では、美術品の購入の検討理由なども考えていきましょう。
<美術品の購入理由>
・第一の購入理由としては、非金銭的な満足度(効用)を得ることです。
この満足度というのは、所有することで得られる満足度と鑑賞することで得られる満足度、や所有しているといった文化的ステータスをまとめたものを指します。
・第二の理由としては、資産としての価値になります。
購入後、値上がりしたときに売却すれば、どれだけの収益を得ることができるのか。これが第二の理由になります。
株式や債券などの他の金融商品の購入理由の場合は、金銭的な収益性が主な購入理由になるため、非金銭的な満足度の部分で性質が異なります。
この他にアメリカの経済学者であるウィリアム・ボーモルによると、芸術作品は下記の
6つの点で、他の金融資産とは異なる性質をもっているといっている。
〈ボーモルが提唱する美術品の性質〉
・金融商品は同質の財が市場には存在しているが、美術市場おいて美術品は唯一無二のため代替する財がゼロ
・金融商品は市場において、多くの所有者が存在するが美術市場においては所有者が1人であり、独占的である。
・金融商品の取引は、継続的に行われるが美術品の取引は、数十年に一度あるかないかという取引頻度の低さ
・金融資産は基礎的な価値は知られているが、美術品には長期の均衡価格がない
・美術品を所有し、取引するコストは、金融資産を所有し取引するコストよりはるかに大きい。
・美術品の所有には金融資産のような金銭的な配当がない。
上記がボーモルによる美術品・芸術作品の投資商品としての性質の違いになります。
個人的な肌感覚としては、実際の物理的な芸術作品の取引はボーモルの言うように
少ないのではないかと感じます。新しく出現し始めているブロックチェーンを活用した
芸術作品に関しては、その限りではなくなってきており、取引も今までより盛んに
行われているような感覚を感じています。
今後の芸術市場動向を要チェックしないといけないですね。
参考文献:
野村資本市場研究所|資産クラス/投資対象としてのアート-富裕層はなぜアートに投資するのか-(PDF)
