今回は元本保証年金についてみていきましょう。
※この記事での[\(\frac{1}{b}\)]の[ ]はガウス記号を表しており、\(\frac{1}{b}\)の整数部分を表しています。
ガウス記号に関して:参考 ガウス記号の定義と3つの性質
◆元本保証年金
元本保証年金とは、すでに支払った年金額の合計が年金原資に達しない場合に死亡が起きれば、その差額を死亡直後に支払う年金のことを指します。元本を1とし、年額をbとしたとき、元本と期初払元本保証年金現価の式には下記のような関係式を立式することができます。
\(1=b\ddot{a}_x+\sum_{t=1}^{[\frac{1}{b}]}\overline{C}_{x+t-1}(1-tb)/D_x\)
※年額bは小数の値をとります。
これは、期初払いの元本保証年金の収支相当の式であり、元本がRなどの具体的な数値がある場合は、
\(R=b\ddot{a}_x+\sum_{t=1}^{[\frac{R}{b}]}\overline{C}_{x+t-1}(R-tb)/D_x\)・・・①
⇔\(R=b\frac{N_x}{D_x}+\sum_{t=1}^{[\frac{R}{b}]}\overline{C}_{x+t-1}(R-tb)/D_x\)・・・②
⇔\(R=b\frac{N_x}{D_x}+\sum_{t=0}^{[\frac{R}{b}]-1}\overline{C}_{x+t}(R-(t+1)b)/D_x\)・・・③
と表記できます。また元本Rの期末払元本保証年金の場合は、
\(R=b{a}_x+\sum_{t=0}^{[\frac{R}{b}]}\overline{C}_{x+t}(R-tb)/D_x\)・・・④
⇔\(R=b\frac{N_{x+1}}{D_x}+\sum_{t=0}^{[\frac{R}{b}]}\overline{C}_{x+t}(R-tb)/D_x\)・・・⑤
となります。
問題1 元本保証年金(期初払いから見た期末払い) ★★★☆☆
元本 1と なる元本保証終身年金の年金額を期初払の場合 bとすれば,期末払の場合の年金額は \(\frac{b}{1-b}\)となることを証明せよ。
ただし,この場合元本保証とは,既に支払った年金額の合計が元本に達しない場合に死亡が起きれば,その差額を死亡直後に支払うものをいう。
◆解答解説
元本を1とするので
\(1=b\ddot{a}_x+\sum_{t=1}^{[\frac{1}{b}]}\overline{C}_{x+t-1}(1-tb)/D_x\)・・・❶
ここでの[\(\frac{1}{b}\)]の[ ]はガウス記号を表しており、\(\frac{1}{b}\)の整数部分を表しています。
ここで、\(b’=\frac{b}{1-b}\)とおき、これを変形すると
\(b=\frac{b’}{1-b’}\)・・・❷
となる。
\(\ddot{a}_x=a_x+1\)と❷を❶に代入し整理すると
\(1=\frac{b’}{1+b’}({a}_x+1)+\sum_{t=1}^{[\frac{1+b’}{b’}]} \overline{C}_{x+t-1}(1-t\frac{b’}{1+b’}) /D_x\)
となります。ここで、両辺に1+b’を乗じると、
\(1+b’=b'{a}_x+b’+\sum_{t=1}^{[\frac{1+b’}{b’}]}\overline{C}_{x+t-1}(1-(t-1)b’)/D_x\)
となります。これを整理すると
\(1=b'{a}_x+\sum_{t=1}^{[\frac{1+b’}{b’}]}\overline{C}_{x+t-1}(1-(t-1)b’)/D_x\)
これは期末払いの給付額が\(\frac{b}{1-b}\)で元本が1の元本保証終身となります。
問題2 元本保証年金(期末払いから見た期初払い) ★★★☆☆
年金原資が1である期末払元本保証終身年金の年金がαであるとき、期初払元本保証終身年金の年額として適切なものは次のうちの、いずれか。なお、元本保証とはあ、すでに支払った年金額の合計が年金原資に達しない死亡が起きれば、その差額を死亡直後に支払うものとする。また、死亡は期初(期初払い年金においては、年金の支払い直後)に発生するものとする。
(A) \(\frac{α}{1-α}\) (B)\(\frac{1-α}{α}\) (C)\(\frac{α}{1+α}\)
(D)\(\frac{1+α}{α}\) (D)\(α\times (1+α)\)
【年金数理人 平成29年 年金数理】
◆解答解説
まず、期末払いの元本1、年額αの元本保証終身年金と元本には下記のような関係が成り立ちます。
\(1=α{a}_x+\sum_{t=0}^{[\frac{1}{α}]}\overline{C}_{x+t}(1-tα)/D_x\)
ここで、\({a}_{x}=\ddot{a}_x-1\)を用いて、期末払いの形から、期初払いへの変形を試みると
\(1=α\ddot{a}_x-α+\sum_{t=0}^{[\frac{1}{α}]}\overline{C}_{x+t}(1-tα)/D_x\)
⇔\(1+α=α\ddot{a}_x+\sum_{t=0}^{[\frac{1}{α}]}\overline{C}_{x+t}(1-tα)/D_x\)
⇔\(1=\frac{α}{1+α}\ddot{a}_x+\sum_{t=0}^{[\frac{1+α}{α}-1]}\overline{C}_{x+t}(1-(t+1)\frac{α}{1+α})/D_x\)
これより、期初払いの元本保証の年金額は\(\frac{α}{1+α}\)となります。
よって、(C)となる。
上記の問題の2つからわかることだが、年額α、元本1の元本保証年金の期初払いから見た期末払い、期末払いから見た期初払いの年金の年額はそれぞれ
・期初払いの年額αの時、期末払いの年金額\(\frac{α}{1-α}\)
・期末払いの年額αの時、期初払いの年金額\(\frac{α}{1+α}\)
となる。これは、元本保証終身年金に限った話ではなく、通常の終身年金にも同様の性質があります。
(例1)
元本1の期初払い終身年金の年額がαのとき、
\(1=α\ddot{a}_x\)
となる。これに\(\ddot{a}_x=a_x+1\)を代入すると、
\(1-α=α{a}_x\)
⇔\(1=\frac{α}{1-α}a_x\)
となり、期初払いの年金額が\(\frac{α}{1-α}\)
とわかる。
(例2)
元本1の期末払い終身年金の年額がαのとき、
\(1=α{a}_x\)
となる。これに\({a}_x=\ddot{a}_x-1\)を代入すると、
\(1+α=α\ddot{a}_x\)
⇔\(1=\frac{α}{1+α}\ddot{a}_x\)
となり、期初払いの年金額が\(\frac{α}{1+α}\)
とわかる。
上記のように終身年金を用いて検証することで計算の負担・時間が短縮できるというのも1つのコツです。
