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【年金数理】出生数と死力がおよぼす人口への影響

今回の人口の変動についてみていきましょう。


問題1 出生数の変化 ★★☆☆☆

定常人口にしたにある集団において、ある時点から年間の0歳守出生数が従前のα倍(α>0)に変化した。t年間その状態が継続し、t年後に集団全体の人口が従前のβとなった。ただし、人口(\(l_x\))は年齢(x)に関して連続な関数であり、年間の出生数が変化しても予定死亡率は変化しなかった。

①変化前の集団全体の人口の総数をLとしたとき、\(l_x\)を用いて表せ。

②変化後(t年後)の集団全体の人口をα、\(l_x\)を用いて表せ。

③ ①②の結果から、βをα、生存確率、また完全平均余命を用いて表せ。


◆解答解説

①従前の集団全体の人口は\(L=\int_{0}^{ω} l_x dx\)

②t年後の集団全体の人口は

\(L’=α\int_{0}^{t}l_xdx+\int_{t}^{ω} l_x dx\)

となります。

③集団全体の人口を従前と変化後を比較すると

\(β\int_{0}^{ω} l_x dx=α\int_{0}^{t}l_x dx+\int_{t}^{ω}l_x dx\)・・・❶

がなりたちます。

これより、

\(β=\frac{α\int_{0}^{t} l_x dx+ \int_{t}^{ω} l_x dx}{\int_{0}^{ω} l_x dx}\)・・・❶’

ここで、分母との約分を考えて、分子の第1項を帳尻合わせすると

\(α\int_{0}^{t} l_x dx =α\int_{0}^{ω}l_x dx -α\int_{t}^{ω}l_x dx\)・・・❷

❷を用いると、❶’は

\(β=\frac{α\int_{0}^{ω} l_x dx+ (1-α)\int_{t}^{ω} l_x dx}{\int_{0}^{ω} l_x dx}\)

\(=α+(1-α)\frac{\int_{t}^{ω} l_x dx}{\int_{0}^{ω}l_x dx}\)・・・❸

となる。

❸を完全平均余命が出るように第2項の変形をおこなう。

\((1-α)\frac{\int_{t}^{ω} l_x dx}{\int_{0}^{ω}l_x dx}=(1-α)\frac{l_t}{l_0}\large{\frac{\frac{\int_{t}^{ω} l_x dx}{l_t}}{\frac{\int_{0}^{ω}l_x dx}{l_0}}}\)

⇔\(α+(1-α)・_tp_0・\large{\frac{\overset{\small{○}}{e}_t}{\overset{\small{○}}{e}_0}}\)

となります。

 


問題2 死力変化によるバフ効果  ★★★☆☆

定常人口の下にある人口総数が𝐿の集団において、ある感染症が蔓延したため、ある時点から年間の 0 歳の出生数が従前の\(α_1\)倍、死力が従前の𝛽倍に変化し、その状態が\(t_1\)年間継続した。その直後、年間の 0 歳の出生数が従前の\(α_2\)倍に変化し、死力が従前に戻り、その状態が\(t_2\)年間継続した結果、集団の人口総数は従前の数まで回復した。このとき、\(α_2\)は次のいずれか。なお、文中における「従前」とは、出生数が\(𝛼_1\)倍、死力が𝛽倍に変化する前を指すものとし、本問における前提は以下のとおりとする。
・定常人口における𝑥歳の人口(\(𝑙_x\))は、年齢に関して連続な関数で最終年齢はない。
・𝑥歳の者が従前の死力で𝑛年間生存する確率を \(_np_x\)と表すものとする。
・\(α_1\)は、0 < \(α_1\) < 1 を満たす定数とする。
・𝛽は、1 < 𝛽を満たす定数とする。

【年金数理人 2023年】


◆解答解説

死力がβ倍になるといった条件が与えられており、生保数理、年金数理の過去問では見かけない問題。

まずは問題を考察するうえで、死力変化によるバフがどのように影響を与えるのか小分けして考えていきます。

\(t_1+t_2\)時点での各年齢 従前から\(t_1+t_2\)年時点での各年齢群への及んだ効果
0歳から\(t_2\)歳 ・出生数が\(α_2\)倍となる。
\(t_2\)歳から\(t_1+t_2\)歳

・死力が\(x-t_2\)の間、β倍となる。

※死力に関しては、年齢によって影響を受けた時間が異なること注意 

・出生数が\(α_1\)倍となる。

\(t_1+t_2\)歳以上

・死力が\(t_1\)年の間、β倍となる。

上記の表より、

\(L=α_2\int_{0}^{t_2}{l_x}dx+α_1\int_{t_2}^{t_1+t_2}{l_x}’dx+\int_{t_1+t_2}^{∞}{l_x}’dx\)

・・・❶

となる。

ここで右辺の第2項、第3項に該当するところでは死力がβ倍されています。従前の\(l_x\)と\(l_x’\)を比較していく。

\(_tp_x’=exp(-\int_{0}^{t} βμ_{x+s}ds)=(_tp_x)^β\)・・・❷

と死力がβ倍された後の生存確率が求まる。

これより、

\(l_x=l_0×(_xp_0)\)・・・❸

\(l_x’=l_0×(_xp_0)^β\)・・・❹

となります。❸、❹を比較すると、\(l_x’=l_x×(_xp_o)^{β-1}\)が成り立ちます。

また、第2項では死力のバフがかかる長さがx歳(\(t_2<x<t_1+t_2\))では、\(x-t_2\)となるので、

第2項は、

\(α_2\int_{t_2}^{t_1+t_2} l_x(_{x-t_2}p_0)dx\)・・・❺となります。

第3項は死力がβ倍となった年数がまるまる\(t_1\)年あるので、

\(α_2\int_{t_1+t_2}^{∞} l_x(_{t_1}p_{x-(t_1+t_2)})dx\)・・・❻

となります。これより、❶を❺、❻を用いて\(α_2\)について整理すると

よって解答はCとなります。

1⃣第2項の積分区間の底と\(α_1\)の関係を見る明らかに、(B)、(D)はないなとなり(C)、(E)の解答に絞り込むことができる。そのため、β-1がどのような意味を持つかは、わからなくても答えを絞り込むことができる問題ではある。感覚の話にはなるが、β-1といった倍率₋1を見たときは、比例式もしくは、メーカムの法則といった切り口が出てくる。この問題では、死亡法則に関して条件が与えられていないことから、死力の変化前の\(l_x\)と変化後の\(l_x’\)の比例式を考えた。

2⃣コロナ明けのタイミングで作問された問題と感じる問題でした。

 

「【年金数理】出生数と死力がおよぼす人口への影響」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 【年金数理】年金数理人 2023年度 過去問解説 – wakuwaku math

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