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【年金数理】脱退時平均年齢について

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今回は以前紹介した平均余命の考えを踏まえて、脱退時平均年齢について学習していきましょう。

x歳の完全平均年齢はx歳以上の生存数Txを用いると下記のようにあらわすことができました。

 

定常状態の開集団において、任意の1年においてx歳以降に死亡(もしくは脱退)

する者の年齢の平均は

と表現することができる。これを脱退時平均年齢という。もし、脱退の原因が

死亡によるものであれば、死亡時平均年齢と呼んだりもします。

 

ここでこの定常状態開集団において、ある任意の1年間における

新規にこの集団に加入してくる人員lxとx歳以上の死者数の関係は

となっています。

このため、任意の1年において生存者の総数Txに対するx歳以上で見た死亡率は

となっており、これは完全平均年齢の逆数ととらえることもできます。

そのため、

任意の1年間における総人口脱退率を表している。

 


問題1 ★☆☆☆☆ 脱退時平均年齢について

x歳の被保険者数が次の通りに表される定常人口に達した年金制度において、新規加入者

はa歳のみで加入するものする。この問いの脱退時平均年齢は40歳とする。

このときのaを求めなさい。


◆解答解説

脱退時の平均年齢の公式より、

より

となる。これより、2a=40となるため、a=20と、加入時の年齢が20歳とわかる。


問題2 ★★☆☆☆ 脱退時平均年齢の利用

定常人口に達した年金制度において、被保険者は常に 20歳で加入するものとし、定年年齢は
60 歳とする。この年金制度の被保険者の総数は 15000人であり、被保険者の平均年齢を 35 歳、被保険者の脱退時平均年齢を 45 歳とするとき、年間脱退者数に最も近いものは次のいずれか。

(A) 333人

(B) 375人

(C) 600人

(D) 1000人

(E) 1500人

【2022年 年金数理人】


◆解答解説

定常状態かつ被保険者は20歳での加入のみなので、l_{20}を求める。また、脱退時平均年齢が45歳なので

ここで総保険者数はなので、これを上記の式に代入し整理すると、

となります。よって解答は、(C)


問題3

x歳の被保険者数が以下の通りで表される定常状態に達した年金制度があり、新規加入者は20歳のみで加入するものとする。

  (20≦x≦a)

今、50歳以上の被保険者の脱退時平均年齢が30歳以上の被保険者の脱退時平均年齢の1.2倍のとき、この年金制度における平均年齢として最も近いものを選択肢の中から1つ選びなさい。

(A)30 (B)31 (C)32

(D)33 (E)34 (F)35

(G)36 (H)37 (I)38

(J)39

【アクチュアリー年金数理 1次 平成22年度 過去問】


◆解答解説

30歳以上の被保険者の脱退時平均年齢は

50歳以上の被保険者の脱退時平均年齢は

となる。これより、問題文の条件から

・・・①

が成り立ちます。ここで

となる。同様に

となるため、これらを①に代入すると

となる。これより平均年齢は

となります。


問題4 台形が出現する際の脱退時平均年齢 ★★☆☆☆

定常人口に達した年金制度があり、加入年齢は40歳、x歳の被保険者数\(l_x\)は次のとおりとする。この年金制度の被保険者の脱退時平均年齢が57.0歳であるとき、\(a(0≦a≦9)の値に最も近いものを次の選択肢の中から1つ選びなさい。

(A)0 (B)1 (C)2 (D)3 (E)4

(F)5 (G)6 (H)7 (I)8 (J)9

【アクチュアリー 平成28年 問題1(1)】


◆解答解説

脱退時平均年齢は\(40+\overset{○}{e}_{40}\)であり、

\(40+\frac{\int_{0}^{20}l_{40+t}dt}{l_{40}}\)

=\(40+\frac{\int_{0}^{10}(100-t)dt+\int_{0}^{10}(90-at)dt}{100}\)
=\(40+\frac{1850-50a}{100}\)

これが57になるので、a=3となる。よって、(D)

(別解)

グラフを考え、40歳で加入した人の脱退時平均年齢を3つの集団に分けて考える。

集団Aでは、[40,50]を1:1に内分する、45歳が脱退時平均年齢となる。

集団Bでは、[50,60]を1:1に内分する、55歳が脱退時平均年齢となる。

集団Cでは、60歳時に強制的に脱退するものとし、60歳が脱退平均年齢となる。

これより、

\(\frac{10×45+10a×55+(90-10a)×60}{10+10a+(90-10a)}=57\)

を解くと、a=3となるので(D)

 


問題4 平均年齢と脱退時平均年齢 ★★★☆☆

x歳の被保険者\(l_x\)が以下のとおり表される定常状態に達した年金制度があり、新規加入者はa歳(a>0)でのみ加入するものとする。被保険者の平均年齢を小数点以下第3位で四捨五入した結果が37.78歳であるとき、この制度における2a歳以上の被保険者の脱退時平均年齢に最も近いものを選択肢の中から1つ選びなさい。

(A)50 (B)51 (C)52 (D)53 (E)54

(F)55 (G)56 (H)57 (I)58 (J)59

【アクチュアリー 年金数理 平成25年 第1問(1)】


◆解答解説

まず、平均年齢についてかんがえることでaの値を求めていく。

集団Aにおいては、集団全体の人数は2a×2a÷2より、\(2a^2\)人。また[a,3a]を1:2に内分する点、\(\frac{5}{3}a\)が平均年齢になる。

集団Bにおいては、集団全体の人数は2a×2aより、\(2a^2\)人。また[a,3a]を1:1に内分する点、2aが平均年齢になるので

\(\frac{2a×4a^2+\frac{5}{3}a×2a^2}{4a^2+2a^2}\)

=\(\frac{17}{9}\)

が考えられる集団全体の平均年齢となる。これが、37.78より、

a=20.001176706

となる。

また、2a歳の特定の人口に注目し、これを集団C、Dにわけて考えると

集団Cのa名は、[2a,3a]を1:1に内分する\(\frac{5}{2}a\)が脱退時平均年齢となり、また、集団Dの2a名は、全員3a歳で脱退するので、脱退時平均年齢は

\(\frac{2a×3a+a×\frac{5}{2}a}{2a+a}=\frac{17}{6}a\)

となります。ここにa=20.001176706を代入すると脱退時平均年齢は、56.67・・・となる。これより、(H)が正しいとわかる。


問題5 指数関数の脱退時平均年齢 ★★★☆☆

年齢xにおける死力\(μ_x=\frac{1}{300-4x}\)(0≦x<75)から\(\frac{1}{320-4x}\)(0≦x<80)に改善した。このとき、平均寿命の伸びに最も近いものを選択肢の中から1つ選びなさい。

(A)1歳 (B)2歳 (C)3歳 (D)4歳 (E)5歳

(F)6歳 (G)7歳 (H)8歳 (I)9歳 (J)10歳


◆解答解説

\(_tp_x=exp(-\int_{0}^{t}\frac{1}{300-4x}ds)\)

=\((\frac{300-4x-4t}{300-4x})^{\frac{1}{4}}\)

となる。同様に、死力が改善した後の生存率は

\(_tp_x=(\frac{320-4x-4t}{320-4x})^{\frac{1}{4}}\)

となります。本問では平均寿命を説いているので、0歳時点での脱退時平均年齢を求めているのと同じなため、

改善前:[0,75]の区間を1:\(\frac{1}{4}\)に内分する点が、脱退時平均年齢となるので、\(\frac{75}{1+\frac{1}{4}}\)となります。

改善後:[0,80]の区間を1:\(\frac{1}{4}\)に内分する点が、脱退時平均年齢となるので、\(\frac{80}{1+\frac{1}{4}}\)となります。これより、

平均寿命の差は、\(\frac{4}{5}×80-\frac{4}{5}75=4\)となるので、選択は、(D)となります。


問題6  内分点を過信しない ★★★☆☆

2つの年金制度A,Bがあり、それぞれの制度における死力は,\(μ_x^{A}=\frac{1}{a-x}\)(x<a),\(μ_x^{B}=\frac{1}{2a}\) (x<ω)で表されることがわかっている。制度A、Bにおける平均寿命が等しいとき、制度Bにおける最終年齢ωとしてもっとも適切なもの、制度Bにおける最終年齢ωとして最も適切なものを選択肢の中から1つ選びなさい。なお、logは自然対数を表す。

(A)a (B)\(\frac{3}{2}a\) (C)\(\frac{4}{3}a\) (D)\(\frac{5}{4}a\) (E)\(alog2\)

(F)\(a・log\frac{4}{3}\) (G)\(a・log\frac{5}{4}\) (H)\(2a・log2\) (I)\(2a・log\frac{4}{3}\) (J)\(2a・log\frac{5}{4}\)

【アクチュアリー 年金数理 平成24年度 第1問(4)】


◆解答解説

制度Aにおいて

\(_tp_x=exp(-\int_{0}^{t}\frac{1}{a-x-s}ds)\)

=\(\frac{a-x-t}{a-x}\)

これより、\(_xp_0=(1-\frac{x}{a})\)

から\(l_x=l_0(1-\frac{x}{a})\)とわかる。これより、[0,a]を1:1に内分する点が0歳の脱退時平均年齢、つまり平均寿命なので

\(\frac{a}{1+1}=\frac{a}{2}\)・・・❶

となります。

\(_tp_x=exp(-\int_{0}^{t}\frac{1}{2a}ds)\)

=\(e^{-\frac{t}{2a}}\)となる。

ここで、\(l_x=○(1-\frac{x}{□})^n,(x<□)\)といった人口モデルでないことがわかる。これより積分を使って平均寿命を求めていく。

\(\overset{○}{e}_x=\int_{0}^{ω-x}{_tp_x}dt\)

より、平均寿命はx=0の時の完全平均余命を考えるので、

\(\overset{○}{e}_0=\int_{0}^{ω}{_tp_0}dt\)

を制度Bに当てはめると、

\(\overset{○}{e}_0^{B}=\int_{0}^{ω}e^{-\frac{t}{2a}}dt\)

=\(2a(1-e^{-\frac{ω}{2a}})\)・・・❷

となる。これより、❶=❷が成り立つので

\(2a(1-e^{-\frac{ω}{2a}})=\frac{a}{2}\)

⇔\(e^{-\frac{ω}{2a}}=\frac{3}{4}\)

⇔\(log e^{-\frac{ω}{2a}}=log \frac{3}{4}\)

⇔\(-\frac{ω}{2a}=log \frac{3}{4}\)

⇔\(\frac{ω}{2a}=-log \frac{3}{4}=log (\frac{3}{4})^{-1}=log \frac{4}{3}\)

⇔\(ω=2a・log \frac{4}{3}\)

となるので、よって(I)が正しい。

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