今回は、保険料の加重平均についてみていきましょう。
Trowbridgeモデルで加入年齢が\(x_e\)歳、定年年齢\(x_r\)歳の定常人口を仮定したとき、年齢別将来期間対応保険料
\(^AP_x=\frac{x_r-x}{x_r-x_e}×\frac{D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}}{N_x-N_{x_r}}\)・・・①
を上記の式のように定義します。仮に\(x=x_e\)の時、
\(^AP_{x_e}=\frac{x_r-x_e}{x_r-x_e}×\frac{D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}}{N_x-N_{x_r}}\)
⇔\(^AP_{x_e}=\frac{D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}}{N_x-N_{x_r}}\)
より、\(^AP_{x_e}=^EP\)が成り立ちます。
また、Trowbridgeモデルの単位積立方式の保険料率とこの年齢別将来期間対応保険料との関係性を考える。
\(^UP_x=\frac{1}{x_r-x_e}\frac{D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}}{D_x}\)
ここで両辺に\(D_x\)を乗じると
\(^UP_x・D_x=\frac{1}{x_r-x_e}D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}\)
となる。この両辺をxから\(x_r-1\)までの和を取ると
\(\sum_{y=x}^{x_r-1}{^UP_yD_y}\)
=\((x_r-x)×\frac{1}{x_r-x_e}D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}\)
となります。これより、年齢別将来期間対応保険料は、
\(^AP_x=\frac{\sum_{y=x}^{x_r-1}{^UP_xD_y}}{\sum_{y=x}^{x_r-1}D_y}\)・・・②
と表すことができます。
問題1 開放基金方式の標準保険料の加重平均 ★★★☆☆
Trowbrigeモデルの年金制度について、開放基金方式における1人当たりの標準保険料について考察を行う。次の①~⑭の空欄に当てはまる式を求めなさい。
\(x_e\):新規加入年齢、\(x_r\):定年年齢とする。
単位積立方式におけるx歳の1人の被保険者が1年間に払い込む標準保険料を\(^UP_x\)、x歳の1人の被保険者の将来期間に対応する標準保険料を\(^AP_x\)と定義すると、\(^AP_x\)は\(^UP_x\)を用いて次のように表すことができる。
\(^AP_x=\LARGE{\frac{\sum_{y=x}^{x_r-1}(①)}{(②)}}\)・・・(Ⅰ)
ここで、定常人口の場合、開放基金方式における1人当たりの標準保険料を\(^{OAN}P\)とすると、\(^{OAN}P\)は次のように表すことができます。
\(^{OAN}P=\huge{\frac{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}\frac{\frac{x_r-x}{x_r-x_e}(③)}{D_x}l_x+\frac{(④)(③)}{D_{x_r}}l_{x_e}}{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}\frac{(②)\cdot ^AP_x}{D_x}l_x+\frac{(④)(⑤)}{D_{x_r}}l_{x_r}}}\)・・・(Ⅱ)
【アクチュアリー 平成22年】
◆解答解説
\(^AP_x=\frac{x_r-x}{x_r-x_e}\cdot{N_{x_r}}{N_x-N_{x_r}}\)・・・❶
ここで単位積立方式の標準保険料を変形して、❶に単位積立方式の標準保険料を出現させる。
\(^UP_x=\frac{1}{x_r-x_e}\cdot\frac{N_{x_r}}{D_x}\)・・・❷
❷の両辺に\(D_{x}\)を乗じると
\(^UP_x D_x=\frac{1}{x_r-x_e}・N_{x_r}\)・・・❷’
この❷’の両辺をxから\(x_r\)までのΣをとると
\(\sum_{y=x}^{x_r-1} {^UP_x} D_x=\frac{x_r-x}{x_r-x_e}・N_{x_r}\)・・・❸
となる。この両辺を\(N_x-N_{x_r}\)で除すると
\(^AP_x=\frac{x_r-x}{x_r-x_e}\cdot{N_{x_r}}{N_x-N_{x_r}}\)
=\(\frac{\sum_{y=x}{x_r-1}^UP_yD_y}{N_x-N_{x_r}}\)・・・(Ⅰ)
の式が成り立ちます。これより①=\(^UP_yD_y\)、②=\(N_x-N_{x_r}\)となります。
次に(Ⅱ)について考えていきましょう。複雑な式が与えられており、萎縮してしまうかもしてないですが、まずは開放基金方式の基本的な式を思い出してみるところから始めましょう。
\(^{OAN}P=\frac{S^a_{FS}+S^f}{G^a+G^f}\)・・・❹
この❹を式をΣを使った本来の形に戻してあげると
\(^{OAN}P=\frac{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}\frac{\frac{x_r-x}{x_r-x_e}N_{x_r}}{D_x}l_x+\frac{\frac{1}{i}N_{x_r}}{D_{x_r}}l_{x_e}}{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}\frac{N_x-N_{x_r}}{D_x}l_x+\frac{(\frac{1}{i})(N_{x_e}-N_{x_r})}{D_{x_r}}l_{x_r}}\)・・・❺が求まります。
ここで(Ⅱ)の分子を
\(^AP_x=\frac{x_r-x}{x_r-x_e}・\frac{N_{x_r}}{N_x-N_{x_r}}\)
を、(Ⅱ)の分子との共通部分について整理すると
\(\frac{x_r-x}{x_r-x_e}・N_{x_r}=^AP_x(N_x-N_{x_r})\)
となるこれを(Ⅱ)の分子に入れると
\(\sum_{x=x_e}^{x_r-1}\frac{(N_x-N_{x_r})・^AP_x}{D_x}l_x+\frac{\frac{1}{i}(N_{x_e}-N_{x_r})・^AP_{x_e}}{D_{x_e}}l_{x_e}\)
問題2
定常人口に達している Trowbridge モデルの年金制度において、加入年齢方式と開放基金方式における標準保険料の水準について考える。計算の前提を次のとおりとするとき、次の(ア)~(ウ)の各問について答えなさい。また、必要であれば、次の諸数値を使用しなさい。
<計算の前提>
・加入年齢は20歳、定年年齢は60歳
・予定利率は2.0%
・予定脱退率は定年年齢以外の全ての年齢で5.0%(脱退には加入中の死亡を含む)

(ア)単位積立方式における𝑥歳の被保険者1人あたりの保険料 \(^UP_x\)が加入年齢方式の被保険者1人あたりの標準保険料\(^EP\)を上回る最小の年齢は何歳か。最も近いものを選択肢の中から1つ選びなさい。
(A) 30歳 (B) 31歳 (C) 32歳 (D) 33歳 (E) 34歳
(F) 35歳 (G) 36歳 (H) 37歳 (I) 38歳 (J) 39歳
(イ)開放基金方式の被保険者1人あたりの標準保険料\(^{OAN}P\)は\(\frac{\fbox{①}}{\fbox{②}}\)と表せる。このとき、①および②として最も適切なものをそれぞれ選択肢の中から1つずつ選びなさい。ただし、\(v=\frac{1}{1+i}\),\(l_x\)は脱退残存表に基づくx歳の被保険者数とする。

(ウ)単位積立方式における𝑥歳の被保険者1人あたりの保険料\(^UP_x\)が開放基金方式の被保険者1人あたりの標準保険料\(^{OAN}P\)を上回る最小の年齢は何歳か。最も近いものを選択肢の中から1つ選びなさい。
(A) 30歳 (B) 31歳 (C) 32歳 (D) 33歳 (E) 34歳
(F) 35歳 (G) 36歳 (H) 37歳 (I) 38歳 (J) 39歳
【アクチュアリー 2024年 問題3(1)】
◆解答解説
(1)\(^UP_x>^EP\)になるときを考える。これより、
\(\frac{1}{x_r-x_e}\frac{D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}}{D_x}>\frac{D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}}{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}D_x}\)
⇔\(\frac{1}{x_r-x_e}\frac{1}{D_x}>\frac{1}{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}D_x}\)
⇔\(\sum_{x=x_e}^{x_r-1}D_x>(x_r-x_e)D_x\)
を満たすxを考える。
\(l_0(\sum_{k=0}^{59}(\frac{0.95}{1.02})^k-\sum_{k=0}^{19}(\frac{0.95}{1.02})^k)>40l_0(\frac{0.95}{1.02})^x\)
これに諸数値を代入すると、
3.31077>40\(l_x・v^x\)
⇔0.08276925>\((\frac{0.95}{1.02})^x\)を満たす最大のxを考えていけばいいことがわかります。\((\frac{0.95}{1.02})^x\)について、最も値の近い30歳を基準に\(\frac{0.95}{1.02}\)を順に乗じていくと
30歳:0.11850(諸数値)
31歳:0.1103676471
32歳:0.1027933968
33歳:0.0957387424
34歳:0.0891682451
35歳:0.0843648855
36歳:0.0773494244
とわかります。これより、36歳が正しいとわかります。よって(G)
(イ)
\(\frac{^UC}{d}=(S^a_{FS}+S^f)\)
\(\frac{L}{d}=G^a+G^f\)
より、
\(^{OAN}P=\frac{^UC/d}{L/d}=\frac{^UC}{L}\)
\(=\frac{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}{^UP_x}l_x^{(T)}}{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}l_x^{(T)}}\)
よって①=(G)、②=(C)
(ウ)
\(^UP_x>^{OAN}P\)を考える。(イ)より
\(\frac{1}{x_r-x_e}\frac{D_{x_r}\ddot{a}_{x_r}}{D_x}>\frac{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}{^UP_x}l_x^{(T)}}{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}l_x^{(T)}}\)
よって(I)
