今回は、美術品の減価償却といった税法・会計上の扱いについて見ていきましょう。こちらに関しては、個人で事業を行っている、もしくは法人で美術品を購入した場合に考える内容となります。
事業を行わず、個人で美術品を購入する場合、減価償却を考える必要はありません。
実は税法上、「美術品」に関して明確な定義は、日本では2025年4月時点ではなされていない状態です。ただ、具体的に定義はないものの、
古美術品・古文書・出土品・遺物、絵画、彫刻、工芸品、書画、骨董などが美術品として例示されてはいます。
美術品は、すぐに現金化しづらいという性質があり、固定資産に分類されます。そして、日本の場合は美術品1点当たりの取得価格100万円未満の美術品は、原則として減価償却を行います。ただし、時の経過によって価値が減少しないことが明らかなものは、減価償却は行わないという例外的取り扱いがします。
1点あたりの取得価格100万円以上の美術品は、原則として減価償却は行いません。ただ、こちらも、時の経過によって価値が減少することが明らかなものは、減価償却が可能と見なすことができます。
| 取得価格条件 | 限定条件 | 減価償却の有無 | |
| 1点あたりの取得価格が100万以上 | 減価償却は行わない | ||
| 1点あたり取得価格が100万円以上 | 時の経過によって価値が減少することが明らかなもの | 例外的に減価償却可能 | |
| 1点あたり取得価格が100万円未満 | 減価償却を行う | ||
| 1点あたり取得価格が100万円未満 | 時の経過によって価値が減少しないことが明らかなもの | 減価償却は例外的に行わない | |
このように、ある一定価格を基準にし、その価格以下のアート作品を減価償却する方法は、日本だけでなくカナダでもこういった基準が設けられています。カナダでは、カナダ人が創作したものという条件があったりします。
では、上記にあった「時の経過によりその価値が減少することが明らかなものとは」どのようなものなのでしょうか?
日本において、
「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」の条件は3つあります、
①会館のロビーやホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用として取得されるもの
②移設することが困難で、当該用途にのみ使用されることが明らかなもの
③他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て、美術品等としての市場価値が見込まれないものであること
上記のように、時の経過によりその価値が減少することが明らかなものは、多くの人が見て、かつアート以外に転用が難しく、恒久的にかざるものであるといった要件があります。日本ではなく、フランスでは、こういった要件を満たすアート作品の購入価格Pの5分の1は法人税から控除できます。ただし、上限としては、会社年間売上高の0.5%を限度としています。
参考文献
・文化経済学 後藤和子・勝浦正樹
参考サイト