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【芸術投資】芸術作品の収益率

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今回は芸術作品の収益率について、考えていきましょう。

 

資産の価格が時系列的に与えられており、\(p_t\)(t=0,1,2,3,4,・・・)としたとするとこのとき、

t期(現在とする)での資産の収益率

\[r_t=\frac{p_t-p_{t-1}}{p_{t-1}}\]

という式で表すことができます。この式は一般的な株式の収益率の計算にも使われます。分子は現在のt年時点の資産の価格と1年前の資産の価格の差を表しており、それを

現在の1年前時点での資産の価格で割ったものになります。

この式はさらに変形することができます。

ここからは数理的な変形になるので、人によってはいったん読み飛ばしてもらっても

大丈夫だと思います。


〈収益率の変形〉

x=0の近傍におけるlog(1+x)のテーラー展開を考えたとき

となります。ここで、x=0の近傍での1次近似を考えるとすると

となります。ここで、を代入してみましょう。

すると

と変形でき、左辺の対数部分を下記のように変形できるます。

ここで真数の分数の形は対数の差の形に変形できるので

という式が出てきます。


 

資産の収益率

はこのように変形できます。

 

この資産の収益率は対数収益率もしくは対数リターンといいます。


では、実際に\(r_t=\frac{p_t-p_{t-1}}{p_{t-1}}\)を用いてアート作品の価格の収益率を見ていきましょう。

 

Artprice100
2000 2001 2002 2003 2004 2005
artprice100 100 111 111 122 135 164
S&P500 100 90 78 60 76 82
収益率(%)
artprice100 11.0 0.0 9.9 10.7 21.5
S&P500 -10.0 -13.3 -23.1 26.7 7.9

The Artprice100© index of Blue-chip artists up 3% over 2022 – Artmarketinsight – Artprice.com

上記は、Artprice社が公表しているArtprice100の美術品価格指数になります。

下記の収益率に関しては、\(r_t=\frac{p_t-p_{t-1}}{p_{t-1}}\)を用いて、算出を行っています。

上記には、表示の領域の兼ね合いで表示していませんが、2000年から2023年までの平均と標準偏差を求めると優れたアート作品群の平均は9.92%で、標準偏差14.9、S&P500の平均は5.9%、標準偏差は17.64となります。

世界的に評価されている有名どころの作家の作品に関しては、S&P500と比較するとリスクである、標準偏差が低くなる傾向にあります。

ただ、Artprice100のような有名どころの作品に関しては、ピカソやゴッホなどの高額作品が含まれており、リスクの低く、収益率の高い投資を行うには大きな資本が必要になるということもわかります。

 

これとは別にBaumolの研究によると上記のアート全体の市場価値としては、アート市場全体の収益率の平均は、0.55%となっており、他の金融商品よりも相対的に収益率が低いという特性があります。

また、美術品・アートの購入を投資対象として主な目的ではなく、アートの鑑賞や作品を展示することによる付加価値と美的・文化的といった動機で購入している人が多く、金銭的動機で購入している人は決して多くない。そういった点で、金銭的なリターンの数値は低くなっている部分もあります。

 

実際に、アートを金銭的にではなく、非金銭的な満足度を加えて評価する場合は、

非金銭的満足度(購入者によって異なる)ため、非金銭的満足度をSとしたときのトータルの収益率は

\[r_t^{total}=\frac{p_t-p_{t-1}+S}{p_{t-1}}\]

と表すことができます。これの非金銭的な満足度Sは作品を鑑賞することによる新しい発見や所有することでの満足度や、作品を購入する際に得られる作家とのコミュニケーション、美術品を所有することによるゲッチェルツ・ジャクソン効果のような付随した環境的効果、中国などでの美術品を持つことで中産階級への仲間入りのアピールになるといった社会的動機など人によって多種多様となっており、人や作品によって変わる数値とも言えます。

※参考

子供の学力向上に「芸術鑑賞が効く」意外な理由 日本人が知らない「アート教育」メリット4選 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン

 

この式の両辺に\(p_{t-1}\)を乗じることで

\[p_{t-1}・r_t^{total}=p_{t}-p_{t-1}+S\]

\[=(1+r_{t})p_{t-1}=p_{t}+S\]

これより、

\[p_{t-1}=\frac{p_{t}+S}{1+r_{t}^{total}}\]

という式が求められる。ここで、t→t+1とすると

\[p_{t}=\frac{p_{t+1}+S}{1+r_{t+1}^{total}}\]

という作品を購入するにあたり、購入者が支払ってもよい価格が求まります。


 

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