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【生命保険数理】Thieleの微分方程式

今回は、ティーレの微分方程式について紹介します。

この微分方程式は責任準備金の微小区間での挙動を決定する微分方程式で

  ① 

という形で表されます。

この微分方程式はデンマークの数学者・天文学者のトルバルド・ティエレが導いたため、この名前がついているようです。この式の連続払いの保険料の年額を表しており、死亡保険金の年額を表しており、生存給付金の年額を表しています。

数理の問題を解く上では、下記のように変形した式を使うことが多いと思います。

      ②

 

では、実際に問題を見ていきましょう。


問題1 ★★☆☆☆    

x歳加入、保険料一時払い、保険金額1、保険期間n年の生存保険で期間途中(0< t < n)の死亡に対しては責任準備金の1/2を即時に支払うものとするとき一時払純保険料を求めよ。

ただし、 とする。


☐解答方針

今回の目的は一時払純保険料であるのでを求めればよい。

紛らわしいがは一時払純保険料を表す記号と思ってくれていい。

☐解答解説

保険料が一時払なので、すべての保険料を払い終えているので、連続的に入ってくる保険料は0と考えることができる。

よってティーレの微分方程式より

が立式できる。

この式の両辺をで割ると

が成り立ちます。この両辺を積分区間0からnまで積分すると

となる。=1より、

  

 この式の両辺に-1を乗じると

ここで、死力と生存率の関係式  を用いると

と変形できる。ここに与えられた数値を代入すると、

となる。

■研究

この問題を一般化したモデルを考えてみよう。保険料一時払いの生存保険で、保険期間途中の死亡に対しては、責任準備金のk倍

(0≦k≦1)を即時払するときの一時払保険料は

となる。この問題1と同じ条件の問題はよく出題されるので、条件が同じであれば、いきなり③を用いて問題を解いてもいい。

 



問題2 ★★★☆☆

保険金としてその時点の責任準備金を支払う完全連続型モデルにおいて、保険料が一定の場合、責任準備金は一定の保険料に関する連続型の確定年金終価になることを示せ。ただし、t=0のときの責任準備金は0とする。


解答解説

保険金がその時点の責任準備金であることから

・・・①

が成り立ち、①よりティーレの微分方程式は

・・・②

となる。ここで保険料は一定であるので、 

     (Pは定数)・・・③

となり、②、③よりティーレの微分方程式は

・・・④

となる。ここで

・・・⑤

とする。これをtに関して微分すると、④、⑤より

が成り立つ。

この微分方程式を解くと

  (cは積分定数)・・・⑥

これより、となり、さらにと変形し、(Aは定数)とすると、

・・・⑦が導ける。ここで、t=0を考えると、④と問題文の仮定より、

とわかる。また、より、・・・⑧であるとわかる。

したがって、④、⑤、⑦、⑧よりであることから、

「【生命保険数理】Thieleの微分方程式」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。アクチュアリーを目指しているものですが、ひとつ確認させていただけましたら幸いです。

    時点0で積み立てられている責任準備金はゼロだと教科書に載っていたのですが、ゼロでない理由は、どのように考えればよろしいでしょうか?

  2. はじめまして。返信がかなり遅れてしまい申し訳ございません。
    年末バタバタしていたのに加えて、コロナウイルスの対応に追われて更新
    できていませんでした。

    おそらく、問1の答えに関する質問ですね。
    責任準備金とは保険期間中に会社が今後の支払いのために、所有しておくべき理論的な金額が責任準備金になります。
    一次払保険契約では、はじめに保険料がすべて支払われているため会社が所有している金額がゼロではなくなります。
    つまり、一時払保険料=責任準備金が成り立ちます。

    年払いの場合はt=0の時、責任準備金が0であるものが多いです。ただし、保険金額が変動するような
    逓減定期保険や家族収入保険といった商品の場合は、T=0時点でも正値ととったり、負値をとったりすること
    があります。

    ただし、決済会計上では負の責任準備金は0としてカウントされてしまいます。

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