コンテンツへスキップ

【年金数理】定常状態と極限方程式について

  • by

今回は年金制度の導入時から、定常状態にいたる過程と定常状態において成立する極限方程式についてみていきましょう。

 

年金制度導入初期においては、人員分布が定常人口で人員においては状況の掌握が容易だったとしても、金銭的な面でみると年金制度が直ちに成熟する場合は少ないです。

年金制度の導入初期の保険料に関しては、制度発足時に過去の勤務期間に対しての給付を通算する場合(過去勤務債務がある場合)は、積立金が不足するため、追加の保険料(特別保険料)を通常の保険料に加えて、徴収する必要があります。また、積立金、給付も一定ではありません。

 

制度発足からしばらく時間を要しますが、積立金・給付・保険料を安定な状態へと移行させていくのです。

その後、時間変化に対して年金制度が不変となった状態を定常状態といいます。

 

実際に、定常状態への移行を表したのが上記の図です。この図を見てもらうとわかるように定常状態の条件は

1⃣定常人口である

2⃣給付、保険料、積立金が年度にかかかわらず、一定である。

3⃣積立金の運用利回りは、予定利率iと等しい。

という3条件を満たしていることがわかります。

 

①~③から給付、保険料、積立金において、方程式を考えることができます。これを極限方程式といいます。

積立金をF、保険料をC、給付をBとすると、保険料、給付がともに期初払いの場合は、

・・・①

という極限方程式が成り立ちます。これは期初時点の積立金、保険料、給付を1年利殖したとしても、翌年の積立金になり、2⃣の積立金は年度にかかわらず一定という条件を満たしていることを意味しています。。

 

保険料、給付がともに期末支払いの場合は、利殖されるのは積立金のみとなるので、

・・・②

といった極限方程式が成り立ちます。

 

加えて、保険料が期初払い、給付が期末払いの場合は、

・・・③

保険料が期末支払い、給付が期初払いの場合は

・・・④

といった極限方程式が成り立ちます。

ここで意識したいのが、定常状態な成り立つ⇔極限方程式が成立するといった関係があるところも押さえておきましょう。アクチュアリーや年金数理人の問題では、定常状態で~といったフレーズを見ると頭の中に極限方程式を立式するといった選択肢が思いつくようにしておきましょう。

 


問題1 極限方程式の確認 ★☆☆☆☆

毎年の給付額がB(期初払い)、保険料収入がC(期初払)、積立金残高がF、予定利率がiとしたときの極限方程式を求めなさい。

【アクチュアリー年金数理 平成8年より】


◆解答解説

極限方程式を考えている⇔定常状態のため。期初においてを1年間利殖すると年末(翌年度の期初)の積立金と等価と考えることができます。

よって

となります。整理すると

とも表記できます。このうち、は、保険料収入と積立金から発生する利息の現価との和が給付と等しいという関係がわかるため、ほかの整理された式と比較すると意味が読み取りやすいです。



問題2 定常状態への回復 ★☆☆☆☆

ある年金制度では、期初に保険料Cが払い込まれ、期末に給付Bが支払われます。積立金はFで定常状態になっており、予定利率はiとします。ある年度の運用利回りがj(0<j<i)と予定利率iと異なりました。

その結果、その年度末の積立金残高がFより少なくなってしまいました。そのため、よく年度の保険料を(C+ΔC)とするとにより、翌年度末の積立金残高をFに回復させることができた。翌年度の運用利回りは予定利率通りであるとして、追加保険料ΔCをF,C,Bを用いて求めなさい。

【アクチュアリー 年金数理 平成17年度】


◆解答解説

ある年度以前では、定常状態が成り立っているため、極限方程式が立式できます。

極限方程式:・・・❶

ある年度において、運用利率はjへと下がっているので積立金の減少額をΔFとすると

ある年度の積立金:・・・❷

また、ある年度の翌年は、前年度の積立金に追加保険料を加え、利殖するとFに戻るので、

・・・❸

❸を整理するととなりここで、❶をこの式に代入すると、が求まります。1+i>0のため、を求めればいいことがわかります。これは、ある年度期末時点の積立金の減少額を、ある年度の翌年期初の追加保険料で賄おうとしていることからもわかります。

 

❷よりΔFについて整理すると、

となることがわかります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です