今回はTroubridgeモデルの年金制度の積立金について考察していきます。
積立金の導出は、各年金制度の項目を参考にしてください。
アクチュアリーや年金数理人の試験には積立金を考察する問題が何年かに1回は
出題されます。そのため、積立金の式やその式が表す意味を覚えておかなくてはなりません。
①賦課方式の積立金
積立金の意味:積立金がなく、保険料の払い込みの対象者は年金受給者である。
②退職時年金現価積立方式
積立金の意味:xr歳を除く受給権者の給付現価
③単位積立方式の積立金
単位積立方式の積立金は被保険者の過去の加入期間に対する給付現価と
年金受給者の給付現価の和であり、過去の給付現価のイメージで覚えておきましょう。
また、単位積立方式の積立金ですが、
と変形できます。この変形した式が正しいか正誤問題などで問われるので
覚えておきましょう。
④平準積立方式の積立金
平準積立方式の定常状態における積立金の額は、在職中の被保険者
の過去の保険料の元利合計と年金受給権者の給付現価の合計であるということが
ポイントになります。
⑤加入時積立方式の積立金
積立金の意味:Xe歳を除いた被保険者の給付現価と受給権者の給付現価の合計
⑥完全積立方式
完全積立方式は、極限方程式において、保険料を0にした制度であり、
定義から積立金は
となっており、年金受給者、在職中の被保険者、および将来加入が見込まれる被保険者の給付現価の合計となっています。
また、各財政方式について積立金の水準が小さい順に並べると
となります。
加えてこれらの積立金と保険料の関係をを除いて図でまとめると
右の図のようになります。
フカ・タイ・タツ・カニ・カン
深く潜る(d(eep)の逆数を乗じる)とおぼえておくと忘れにくいです。半知性的ではありますが、語呂合わせは記憶に残りやすいです。

ではこの関係図や式を利用した問題について考えていきましょう。
問題1 ★☆☆☆☆ 給付現価関係図の利用:保険料
定常状態にあるTrowbridgeモデルの年金生徒における給付現価Sを示した以下の算式
のうち、正しい式はいくつあるか。
①\(S=\frac{^PC}{d}\) ②\(S^p=\frac{^PC-v^TC}{d}\) ③\(S^a=\frac{v^TC-^{In}C}{d}\)
④\(S^f=\frac{^{In}C}{d}\) ⑤\(S^p+S^a_{PS}=\frac{^PC-v・^UC}{d}\) ⑥\(S^{a}_{FS}=\frac{^UC-v・^{In}C}{d}\)
(wakuwaku-math オリジナル)
◆解答解説
アクチュアリーの年金数理1次試験平成17年によくよく似た問題が出題されています。表を書いてみると非常に解きやすい。
各保険料に1/dを乗じて、その高さをしたから考えるとわかる。
① より正しい。
②に1/dを乗じると
ここからを差し引くと
この式が正しいことがわかる。
③ ①、②と同様に図から差をとると
となる。そのため、正しくない。
④正しくは、
⑤正しくは\(S^p+S^a_{PS}=\frac{^PC-UC}{d}\)
⑥正しい。
①、②、⑥が正しいため、正しい式の個数は3つ。
問題2 Trowbrigeモデルにおける積立金比較 ★☆☆☆☆
Trowbridge モデルにおいて加入時積立方式と退職時年金現価積立方式の制度全体の定常状態における積立金の差 \(F^{In}-F^T\)を予定利率𝑖および在職中の被保険者の給付現価\(S^a\)を用いて表すと、次のいずれか。
(A) \(S^a\) (B) \(S^a/(1+i)\) (C)\( S^a( 1 + 𝑖 )\)
(D) \(S^a⁄( 1 − 𝑖 )\) (E) \(S^a( 1 − 𝑖 )\)
【年金数理人 2024年 問題7】
◆解答解説
積立金の関係図から
\(F^{In}=S^p+S^a-^{In}C\)
\(F^{T}=S^p-^{T}C\)
よって解答は(C)
問題3 積立金を考えてみる
定常状態に達しているTrowbridgeモデルの年金制度において、次の各財政方式における積立金の説明のうち、正しいものは(A)、誤っているものは(B)を選択しなさい。ただし、新規加入年齢を\(x_e\)、定年年齢を\(x_r\)とし、予定利率をi、\(v=\frac{1}{1+i}\)とする。
ア)加入時積立方式
在職中の被保険者(\(x_e\)歳の者を除く)の給付現価に𝑣を乗じた額と年金受給権者の給付現価
の合計
(イ)退職時年金現価積立方式
年金受給権者(\(x_r\)歳の者を除く)の給付現価
(ウ)単位積立方式
在職中の被保険者の将来の被保険者期間に対応する給付現価と年金受給権者の給付現価の合計
(エ)平準積立方式
在職中の被保険者の過去の保険料の元利合計と年金受給権者の給付現価の合計
(オ)完全積立方式
年金受給権者及び在職中の被保険者の給付現価の合計額
(A)正しい (B)誤り
【アクチュアリー 年金数理 2025年 第1問(5)】
◆解答・解説
積立金の関係図から
(ア)\(^{In}F+^{In}C=S^a+S^p\)
⇔\(^{In}F=S^a+S^p-{In}C=S^p+\sum_{x=x_e}^{x_r-1}l_{x_e}^{(T)}\frac{N_{x_r}}{D_x}-l_{x_e}^{(T)}・\frac{N_{x_r}}{D_{x_e}}\)
\(=S^p+\sum_{x=x_e+1}^{x_r-1}l_{x}^{(T)}\frac{N_{x_r}}{D_x}\)
となるため、加入時積立方式の定常状態における積立金残高は、在職中の被保険者(x_e歳の者を除く)給付現価と年金受給権者の給付現価の合計に等しい。よって、誤り (B)
(イ)
\(^{T}F+^{In}C=S^p\)
⇔\(^{T}F=S^p-^{In}C=\sum_{x=x_r}^{ω}l_{x}・\ddot{a}_{x}-l_{x_r}・\ddot{a}_{x_r}=\sum_{x=x_r+1}^{ω}l_{x}・\ddot{a}_{x}\)
よって、正しい。 (A)
(ウ)\(^{U}F=S^a_{PS}+S^{P}\)
のため、在職中の被保険者の過去の被保険者期間に対応する給付現価と年金受給権者の給付現価の合計となるため、誤り (B)
(エ)
平準積立方式の積立金は
\(^{L}F=S^p+S^a-^{L}P・G^{a}\)
ここで、積立金の年金受給権者の給付現価以外の部分は
\(S^{a}-^{L}P・G^{a}=\sum_{x=x_e}^{x_r-1}l_{x}^{(T)}\frac{N_{x_r}}{D_x}-^{L}P\sum_{x=x_e}^{x_r-1}l_{x}^{(T)}・\frac{\sum_{y=x}^{x_r-1}D_y}{D_x}\)
となる。
ここで
\(^{L}P=\frac{D_{x_r}・\ddot{a}_{x_r}}{\sum_{x=x_e}^{x_r-1}D_x}\)
⇔\(^LP・\sum_{x=x_e}^{x_r-1}D_x=D_{x_r}・\ddot{a}_{x_r}\)
を用いると、
\(S^a-^LP・G^a=\sum_{x=x_e}^{x_r-1}l_{x}^{(T)・^LP(\frac{\sum_{y=x_e}^{x_r-1}D_y-\sum_{y=x}^{x_r-1}D_y}{D_x})}\)
\(=\sum_{x=x_e+1}^{x_r-1}l_{x}^{(T)}・^{L}P(\frac{\sum_{y=x_e}^{x-1}}{D_x})\)
=\(\sum_{x=x_e+1}^{x_r-1}(^{L}P\sum_{y=x_e}^{x-1}l_{y}^{(T)}(1+i)^{x-y})\)
となるため、年金受給権者についての給付現価に加えて、在職中の被保険者についての過去の保険料の元利合計であるとわかる。よって、正しい。(A)
(オ)完全積立方式は制度的に積立金の額は
年金受給権者、在職中の被保険者および将来加入が見込まれる新規被保険者の給付現価の合計と、すべての給付現価を含むため、誤り。よって (B)

こんにちは。久々に拝見させて頂きました。標題の問題1を解いてみましたが、誤植か、私の理解が誤りか確認したく、メールさせて頂きます。よろしくお願い申し上げます。
選択肢⑤S_p_ps→S_a_ps?
選択肢⑥S_a_fs→S_a_ps?
解答②v×P_C→v×T_C?
解答⑤S_p_ps→ S_a_ps?また、この記号は要る?
この問で表の見方が理解出来そうなので、確認させて頂けたらと存じます。
こんにちは。shivajknsharonさん。
ご指摘ありがとうございます。
>②v×P_C→v×T_C
解説部分のところですね。
ご指摘の通りですね。混乱させてしまい申し訳ないです。
解答⑤S_p_ps→ S_a_ps
こちらも、問題、解答ともにS_a_psが正しいですね。
どちらもご指摘の通りで、またS_p_PSは存在しない記号ですね。
訂正するようにいたします。ご意見ありがとうございます。